2025/04/07 14:21

私たちは、ふたり共同でぬいぐるみを作っている。
私たちは始めからぬいぐるみを作ろうとしていたわけではなく、
互いの理想・理念を実現できるモノづくりがしたいと思い、話し合いを始めた。
〈いやし・いこい・ゆとり・ケア・余裕・職人・芸術・文化・非必需品・よりどころ・よわさ・健康さ…〉
そんな概念やキーワードがふたりの間で共有された。これらは仕事観・人生観をも含んでいて、このような理想・理念が詰め込まれたモノは何かと考えていたら、「ぬいぐるみ」が思いつき、そこへ着地することとなった。
みんなにとっての必需品ではない
私たちがこの非必需品を生み出したいと思う感覚は、激しい消費社会とは少しだけ離れたアートや文化の空間に行きたいと思っていたからだと思う。
明確な評価軸や基準が設定されていない、自由な感性と実践でゆるやかにのびのび表現できる空間が、必需品でない場には存在する。
ぬいぐるみは、ある人にとっては生涯関わることはないが、ある人にはそれがないと生きていけないくらい心の拠り所となる存在である。
そんな誰かにとって意味のある存在を作り出せたら素敵だと思う。
「よわさ」の象徴
ぬいぐるみを持っている人、大切にしている人はどこか「よわさ」を抱えた人なのではと思う。
それは筆者も同様で、日々世の中に生きづらさを感じつつ、でも家に帰ったら安心できるぬいぐるみがいて、そこにいてくれるだけで心の支えになる感覚がある。
ぬいぐるみの存在は多少「ケア」の領域にいるのだと思う。一人だけでは抱えきれない苦悩や問題、だけど他人にも打ち明けられないことも、ぬいぐるみはそこにいるだけで癒してくれる。
そんな「よわさ」の象徴としての役割を担ってきたのだと思う。
私たちの作りたい「すこやかな」ぬいぐるみ
私たちはそこにぬいぐるみがいることで、より健康で、自分に対して丁寧な生活をしたいと思うような存在を作りたいと思っている。
例えば、ぬいぐるみを座らせる本棚の掃除をしたり、ベットメイキングをしたり、早起きして朝ごはんを作ったり、コーヒーを淹れたり。一緒に連れて出かけるために、行きたい場所が増えたり、天気のいい日にお散歩して太陽の光で写真を撮ったり。
日々の生活が愛おしく、穏やかで、唯一のものになるような、暮らしの相棒としてのぬいぐるみを作っていけたらなと思っている。
おわり