2025/06/09 19:05

手作りの「すこやかなぬいぐるみ」に、物語絵本ができました!
一話読み切りの物語なので、どのお話からでもお読みいただけます。
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女の人は、淡いオレンジ色のすこやかなねこのぬいぐるみと暮らしていました。ねこはいつもそばにいて、こちらを見つめてくる心地の良い相棒です。

夜、女の人はいつものようにソファーでねこと一緒にゆったりと過ごそうとしました。しかし、今日はなぜだか心がむしゃくしゃとして、くつろぐ気分になれません。夜風に当たろうと思い、ベランダの手すりに肘をかけぼーっと外の街を眺めます。

「なんでこんなにむしゃくしゃするんだろう……」
仕事のこと、人間関係、家のこと。
どれもこれも考えなきゃいけないのに、気がついたらグルグルとなって何もわからなくなっていました。

後ろを振り向きねこと目が合うと、「なんだか今日は大丈夫?」と心配しているように見えました。
「このままじゃいけない」
そう思った女の人は、パソコンの前にねこのぬいぐるみと腰かけ「モヤモヤをとりのぞく方法」と検索してみました。いくつか出てきたリストのなかで、「ノートに思いを書き出す」という言葉に目がとまりました。

女の人は、これならすぐにできそうだと思いました。
近くにあった使いかけのノートをぺらりと開いて、ノートにモヤモヤの種をとりあえず書き出してみました。

“なんだか、今日はすごく疲れてる。
あのひとの一言、なんでこんなに気になるんだろう。
本当は、もっとちゃんと自分のペースでやりたいのに。”

書き終えたとき、女の人は小さくため息をつきました。
するとふと肩の力が抜け、心のざわめきも落ち着いたような気がしました。

それから、女の人は少しずつ「書くこと」が好きになっていきました。
ノートを書くのはだいたい夜。
好きな飲み物を準備して、ねこと一緒にテーブルに向かって数十分。長い時は一時間くらい書き続けます。

日々の出来事を記したり、気持ちや考えを書き出したり、時には全く書くことができないこともありました。
書けなかったということも、その時の自分の心や体調の様子を表しているようでした。

記録を読み返すと、数日前の自分を他人の視点で見返せたり、数ヶ月前の出来事を昨日のことのように思い返したりできるのが、面白い体験でした。


日記を記して約半年が経ちました。
読み返すと、自分の人生が彩りあるものに感じられますり
日記をつける前よりも日々を着実に、大切に過ごせている感覚がしました。問題は整理されていて、心の持ちようも自分でコントロールできるようになっています。

そのおかげか、女の人は休日に外出することが多くなりました。
しっかりと「すこやかなねこのぬいぐるみ」もカバンに入れて、連れて行きます。ねこのぬいぐるみと一緒に写真を撮って、家に帰って日記に記録します。

海の前を走る列車、夜空に大きく咲く花火、贅沢な喫茶店のパフェ…

見返すといつでも「その日」に戻って、思い出の中に入り込める気がするのです。

第6話 おしまい
これからも絵本はつづきます
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